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香港科技大の工学研究科では世界的に影響力のある研究が行われています。World University Rankingによると2018年には世界で17番目,2015年にはアジアの大学で8番目と高い評価を受けています。
部門ごとに2018年の世界ランキングを見てみると,
- Computer Science:14位(QS)
- Electronic & Computer Engineering:23位
- Mechanical & Aerospace Engineering:24位
- Civil & Environmental Engineering:24位
- Bioengineeringは30位
世界的に知名度の高い教授陣を擁し,優れた研究成果により権威のある学会や機関から賞を与えられる先生も数多く在籍しています.2017年度には政府系機関や民間団体などから約78億円の資金提供を受けました.産業界との繋がりも深く,企業と提携した研究もされています.大学には研究成果のビジネス化を進めるための機関があり,大学発の起業や起業家教育にも力を入れています.スタートアップ企業は資金提供を受けることができ,これまで29の企業が大学のサポートを受けています.世界的に有名な大学や企業とも強いネットワークで結ばれており,IoTやデータサイエンス,e-ラーニングなどの研究が進められています.
2017年には 生体医学と分子化学の部門が統合され,新たに生体化学工学の部門(Bioengineering)が誕生しました.これにより医療やヘルスケアに関する研究がさらに進められていきます.コンピュータサイエンスではヨーロッパや中国の大学院と連携してダブル・ディグリープログラムも用意されており,国際的な視野を広げることができます.また同部門は香港の研究施設と提携し,ビッグデータやフィンテック,無線通信などの分野で共同研究が進められています.また香港の大学で初めてあらゆる分野に対応したサイバーセキュリティの研究所が設置されました.
香港科技大はオンライン教育にも力を入れており,プログラミング言語JavaのコースはedXで25万人が受講しました.2016年度には最も人気のあるコース第6位となりました.
以下では部門ごとに最新動向を紹介します.
Computer Science
- IEEE Transactions on Big Data, ACM Transactions on Intelligent Systems and Tech, VLDB 研究雑誌のEditor-in-Chief
- ACM SIGMOD, IEEE GLOBAECOM, ACM SIGPLAN PLDI最優秀論文賞
- Student Fellowships in Google, Microsoft, etc.
- Prof Qian Yang : 学習した知識を再利用し,データから情報やパターンを抽出するアルゴリズム(転移学習)の研究.テキストデータから学習したことを画像認識の分野で応用でき,協調フィルタリングや推薦システムで利用される.
- Prof Huamin Qu : e-ラーニングで受講者がビデオを見ている際に,マウスをクリックしたデータから受講者の行動を可視化できるシステム(VisMOOC).講義の内容をよりよくするための分析が可能.
- Prof Pan Hui : AR開発を促進するモバイルデバイス向けプラットフォームの開発
Mechanical & Aerospace Engineering
- MITとの共同研究を実施した経験(年間約1.4億円)
- Prof Christopher Chao : 省エネ,環境に優しい “smart wall green panels” の開発研究
- Prof Yi-Kuen Lee : 省エネ,炭素の排出を抑えるスマートビルディングの開発研究.IoTやセンサー,AIを利用した空調制御システム.
Civil & Environmental Engineering
- 100%企業インターンシップの実現
- Prof Jianping Gan : 海水の富栄養化と低酸素状態をもたらす原因と特定し,海洋環境を改善する研究
- e-fuel プロジェクト : 充電することで再利用可能な液体の研究. 太陽光や風力から生成した電気を貯蓄・充放電することができ,他のエネルギーと比べて効率的で利用する場所を問わず,安全で持続性のあるエネルギーとして期待されている.
Chemical & Biological Engineering
- 世界最初のSmart Anti-microbial Coatingを発明
- Prof King Lun Yeung:環境技術・膜浄水技術の研究
Electronic & Computer Engineering
- 教員ごとに約HKD 1.5M(2千1百万円)の研究予算を獲得
- Prof Shengwang Du : 量子通信のための光子の研究
- Prof Ming Lis : 車両間のコントロールが可能な自動運転技術の開発
Bioengineering
- Prof Angela Ruohao Wu : 個々の細胞を分析する新技術を用いたガンなど病気の原因を解明する研究,
- Prof Nancy Ip : ニューロンのつながりをコントロールする細胞の仕組みを調べ,認知機能や神経系の病気を解明する研究
- Prof Jiguang Wang : 脳腫瘍のゲノム解析モデルの開発
- Prof King Lun Yeung : 空気中のバクテリアやウイルスをほぼ100%除去するシステムの開発
Industrial Engineering
- Prof Richard So : 低コストの補聴器の開発.周囲の雑音をカットでき,携帯やオーディオ機器への応用も期待
- Prof Neville Lee : お年寄りのための自動入浴チェアの開発