香港科技大学での学習が実際にどういう感じか、現在修士課程一年生の加藤さんにインタビューしました。

Kato san→K

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S:加藤さん、こんにちは。前回のインタビューは、学生からたいへん参考になった、今後もやってほしいとのフィードバックがありました。今回もインタビューを受けていただいて、ありがとうございます。今回はですね、以前学生たちとの相談にあった、海外の大学での勉強は日本とどう違うの?という内容について、お聞きしたいと思います。

K:個人的に大きく違うのはグループワークの有無ですね。日本ではグループワーク(プロジェクト)はあまり経験したことはなかったです。

S:グループワークというのは、具体的にどういうタイプの学習でしょうか。

K:グループワークに関しては講義によります。ただ、基本的には先生がテーマを与えて、それに対して自分たちで課題設定をして、更にその課題を自分たちで解決するスタイルが多かったですね。作業分配もチーム内で各々決める感じでしたね。データ収集整理する人、モデル設計する人、結果考察する人など。途中経過を先生がチェックしてアドバイスをもらったりしました。日本では、数学科だったというのもありますが、そもそもグループワークをほとんどしなかったですね。

S:なるほど、こういうのがコースの学習方法の特徴ですね。
少し専攻についてですが、加藤さんは元理学数学科だったと伺いました。今は工学とくにビッグデータと機械学習を専攻しているようですね。専攻内容をチェンジした理由は、やはり自分のキャリアと密接に関係ありますか。

K:そうですね。。。キャリアというよりは純粋にビックデータと機械学習に興味がありました。この2つはこれから社会で必要とされていく知識・技術だろうという確信がありました。数学科でしたので、コンピューターサイエンス(CS)の知識は劣りますが数学(理論的な事)でくらいついていけるという自信もありました。

S:ビッグデータと機械学習って、科技大に入る前にどういうイメージを持っていましたか。

K:コードをゴリゴリ書いて、ひたすら計算するイメージです(笑)もちろんそういう側面もあるのですが、実際は生のデータをみて「どう処理するか?」「どのようなアルゴリズム(モデル)を使うか?」というコードを書く前の思索も大事だと分かりました。

S:なるほど。では最後になぜ科技大工学院を学びの場として選んだのでしょうか。

K:繰り返しになり恐縮ですが、この分野では現在アメリカと中国が世界をリードしている状態です。最初はアメリカと中国(本土)を考えていたのですが、お世話になっている教授から香港という選択肢も教えていただきました。また、香港では英語が公用語となっていますので、学生生活や普段の生活でも本土よりも快適に(言葉の面で)生活できると思い香港を選びました。もちろん、科技大には素晴らしい環境と世界的にもトップレベルの研究者が在籍されているのも大きな理由です!

S:実際に科技大に入ったら、勉強の量が半端ないと前伺いました(笑)。量が多いというのは、授業が多いですが、それとも調査や報告書の方でしょうか。ほかの学生との共同プロジェクトもありますか。

K:理由は2つあります。1つは単に僕の知識不足からきています。講義のスピードは非常に早い上に知らない専門用語ばかり出てきますので、調べながらの授業は大変でした。2つ目は講義そのものです。一般的な授業ではテスト・中間テスト・グループ発表の3つを評価基準として行われます。3つの項目でどれも良い結果を残さないと、あまり良い成績が取れません。ですので、グループワークの準備をしながら中間テスト・期末テストをする感じになるので非常に大変です(笑)

S:確かにものすごく充実していますね。専門が結構変わったので、たぶん大変と感じたところもあると思います。専門のチェンジについては、ご自身はどのようにカバーしていますか。基礎のコースもとっていますか。

K:数学科でしたのでアルゴリズムや理論の理解は苦労しませんでした。ただ、プログラミングやCSの知識不足を補うためにUdemyや自分で本を買って自習していました。

S:勉強の量が多くてバタバタしている中、勉強のスタイルについて自分が一番感じた日本の大学との違いは、どういうところでしょうか。

K:個人的な感想になりますが、日本では「ゆっくり深く確実に学ぶ」感じがしましたが、こちらでは「早く広く学ぶ」感じがします。

S:かなり勉強になった実感がしたのは、どういうところでしょうか。勉強になった部分(英語力を含めて)は、将来自分のキャリアアップにおいて、どのように繋がると思いますか。あるいは期待とか。

K:やはり自身の専門分野の理解が深まったことが大きいですね。将来のキャリアアップについてはまだよく分かりませんが、香港・中国で研究(働く)する事が僕にとって一つの選択肢になったことです。

S:なるほど、そういうところに勉強した甲斐を感じていますね。
少し遡って、日本の大学の頃と比べて勉強の量が多いし求められる「成果」の質も高いそうなので、最初はちょっとの挫折もしましたか。自分なりにどのように工夫していますか、例えば時間の管理や勉強の仕方を変えてみたとか。

K:挫折はいつもしています(笑)ただ、すぐに立ち直る性分なのでなんとかなってます。特別優秀でもない僕が唯一できることは「時間をかける」という事しかないので、基本的に僕は休みを作らないようにしてます。もちろん、たまに息抜きしますが1日丸々休むことはないです。また時間管理に関しては、ルーティーンを決めてこなす事にしてます。

S:よく科技大留学を検討中の学生から聞いたのですが、香港の大学は授業が英語で、先生とほかの学生とのコミュニケーションも主に英語、そして宿題やレポートなども基本英語なので、こんな英語だらけの勉強の環境では、本当に自分が対応できるかなと。加藤さんの場合は、英語だらけの学び環境では、どういう風に英語を克服していますか。専門の学びといえば、たぶん英語の専門用語も多いと思います。少し心得を具体的にシェアしていただくと嬉しいです。

K:英語は子供の頃から使ってますので、今まで特に不自由を感じたことはないです。科技大では英語が基本ですが生徒の半分近くは香港・中国出身の方ですので、英語で会話してても東アジア特有の謙虚さを感じるので居心地が良いです。とても優しい人が多いです。さらに、香港・中国が好きになりました。

S:いろいろとシェアしてくださって、ありがとうございます。
最後に、科技大のMasterコース(MSc)を検討中の日本人学生に対して、とくに日本の大学と科技大との勉強スタイルの違い、その学びが将来キャリアにつながる視点から、科技大留学が自分に合うかどうかをこのように検討したらいいかもしれない、みたいなアドバイスをいただけると、助かります。多くの日本人学生にとって良い参考になると思います。

K:もし、留学に不安があるようでしたら夏にサマーキャンプがありますので是非参加してくだい!今年はコロナで現地開催はないかもしれませんが、おそらくオンラインであると思います。香港は日本よりも国際色が強いところです!将来のキャリアにもきっとプラスになります。また国内にも良い大学がありますが、やはり一度は海外の大学で学位を取ることをお勧めします。留学は勉強だけでなく色々な出会いがあり、貴方の見識を広め、経験を豊かにします。
科技大でお待ちしております!

S:今回のインタビューも、どうもありがとうございました。私自身にとっても良い参考となりました。