香港科技大学工学院 Master1年生の宮崎 聖さんに取材しました。

Q&Aという形で留学の体験をシェアしていただきます。

Miyazaki san→M
Staff→S

S:
宮崎さん、こんにちは。今回インタビューを受けていただき、ありがとうございます。
香港科技大学工学研究科(以下SENG)の最初の日本人留学生として、まず今の心境を教えてください。

M:
こんにちは。香港科技大学工学院修士1年の宮崎聖(ひじり)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。実は、SENGに入学して事務の方とお話するまで僕がSENGでの最初の日本人だと知らなかったんですよね。日本にいると海外大学院の情報って手に入れにくくて。特にアジア地域の大学院は、あまり前例がないこともあって情報収集には非常に苦労しました。最初のSENG日本人留学生としての心境は、やはりSENGに入学して良かったなということですかね。大学学部4年までずっと育ってきた福岡を離れ、香港での生活に慣れるのに少し時間はかかりましたが、日本では決して体験、そして得られないものを吸収しながら毎日の研究生活送っています。

S:
今回SENGへの留学を決めたのは、やはり奨学金が魅力的でしょうか。

M:
そうですね。日本で奨学金といえば、皆さん返済義務がある貸与型奨学金のことを考えますよね。僕も最初はそうでした。しかし、ある日留学生の友人が返済義務のない給付型奨学金をもらいながら日本で勉強しているのを知って、これが本来のあるべき姿だと思ったんですよね。特に大学院での研究はどの大学にいても時間を非常に費やしますからね。その時にふと、お金をもらいながら研究できたらどんなに幸せだろうとその時に思ったんです。また僕は大学院は海外でと学部の頃から決めていたので給付型奨学金をもらいやすい大学を必死に探しました。しかし、なかなか奨学金のもらいやすさとか掲載しているページを見つけれなくて。それに、自分の研究に加え、海外の大学院の入学願書や大学院から課されたエッセイをこなすだけで相当時間がかかり奨学金の書類を用意するのも大変でした。
実は僕の場合、入学通知をもらった際、Postgraduate Studentship Awards (以下PGS)(日本人学生が取りやすい奨学金の一覧記載)をもらう予定だったんです。ですが、香港に来てから香港科技大学のオフィスからAsian Future Leaders Scholarship Program (以下AFLSP) (日本人学生が取りやすい奨学金の一覧記載)への合格通知をいただき、AFLSPに変更しました。というのもAFLSPの方がもらえる金額が少し多いのと修士2年の夏に3週間サマーインターンに無料で参加できるからです。正直、PGSもAFLSPもいただける金額は香港で学生生活を送るのには十分すぎるぐらいです。
他に特筆すべきこととしては、PGSとAFLSPの違いですね。PGSは香港科技大学大学院に応募してきた全員が奨学金候補生とされその中で誰に奨学金がもらえるか選別されるみたいです。AFLSPに関しては、AFLSPのホームページを見てもらったらわかると思うのですが、with priority given to Japaneseと書いてある通り、日本人への給付が優先的に考えられています。正直応募してエッセイや英語の点数取っていて、合格さえすればPGSあるいはAFLSPから奨学金はもらえると思って大丈夫だと思います。もちろん行きたい研究室を見つけてやりたいことが香港科技大学でできるなら、ですが(笑)
注意点なんですが海外に行きたいからという理由だけで大学院進学すると大変ですよ?しっかり科技大で何の研究がされ、何の研究が自分はしたいのか等、研究室のリサーチは自分でする必要があると思います。

S:
なるほど。奨学金以外には、SENGの魅力はほかに何か感じましたか。

M:
SENGの魅力はやはり、高度な実験設備と研究環境ですね。設備に関しては、日本に劣らずしっかり設備が整っていますし、何といっても教授らのレベルが高いですね。教授らはほぼ確実にと言っていいほど、アメリカ、欧米の有名大学で終始あるいは博士課程を修了しています。教授らのコネクションを通して別の有名大学の博士課程に入学することもできると聞いています。それに加えて香港科技大学も学生はすごく勉強しています。日本にいる頃、テスト前しか勉強していなかった僕には、なれるのには少し時間がかかりましたが、いまは朝8時から夜の11時頃まで研究室に残って研究や論文を読む毎日ですね。僕の研究室の周りの人はそれを入学したときから当たり前でしょという感じでやっていましたね。
また、香港科技大学に来て非常に驚いたことが学生へのサポートが非常に厚いことです。言語をはじめとする様々な将来役に立つセミナー、カウンセリング等キャンパスのいたるところで毎日何かあっています。私が学部時代を過ごした大学に比べると学生への勉学に集中してもらいたいという思いをすごく感じられる大学になっています。

S:
日本人の学生に香港留学について聞いてみたのですが、多くの学生は香港への留学についてのイメージをもっていない、または留学後の進路についても、あまり知らないと答えました。これについて宮崎さんはどう思いますか、とくに修了後の進路については?

M:
そうですね。日本で香港といえば、アジア経済の重要都市、あるいは観光スポットで大学院への進路というイメージはほぼありませんね。僕は日本でそのようなイメージがないのは、ただ単にみなさんが知らないからだと思います。実際に、学部の頃のアジアからの留学生の友人らに香港科技大学のことを尋ねたことがあるんですけど、ほぼ100%知っていました。彼らは大学を受験する際に、アジアトップの大学シンガポール、香港、日本を受験してるみたいです。中にはシンガポールと香港科技大学落ちたから日本に来たと言っている留学生もいました。
修了後の進路なんですが、可能性としては香港科技大学で培った国際的なネットワークを活かして、欧米あるいは米国に博士学位を取りにいくこともできるでしょう。あるいは、世界を飛び回るエンジニアになることもできると思っています。僕自身まだ具体的な将来が見えていない部分もあるんですが、進んでいく中で一つ一つの選択を悔いの残らないように決断していきたいなって思っています。

S:
結構いろんな可能性がありますね。就職の方は、香港科技大に様々な就職セミナーや国際企業へのインターンシップ機会があるようですが、実際入学してみたら、やはりこういう情報が多いでしょうか。

M:
はい、香港では10月頃が就職活動のタイミングみたいなんですが、日本の大学と同様にその頃になるとたくさんの企業がキャンパスに来てセミナーや説明会をしていましたね。その場で、直にCV(履歴書)を受け取っている企業も複数ありました。海外でのインターンシップ募集の案内も学内メールや学内ポスターでよく目にしました。僕が日本の大学よりも、情報を流す量、質は圧倒的に上で、学生に与えられるチャンスの数も多い気がしました。また、日本企業数社が日本からはるばる香港科技大学へ説明会とセミナーを開催しに来られていたのは、驚くとともに日本から来られるほど外国人を企業側が欲しているんだな、と危機感すら感じました。
先ほども学生のサポートが厚いと申し上げたんですが、就職やインターンシップに対するサポートも同様ですね。頻繁に学内のキャリアセンターからCV(履歴書)の書き方に関するセミナーやリンクドイン(LinkedIn)の使い方に関するもの等様々なセミナーの情報をよく目にします。どのセミナーも外部からスペシャリストをお呼びして行われるので質の高いセミナーを受けることができます。もちろん科技大の学生は学年に関係なく無料で受講できます。

S:
宮崎さんにとっては、香港科技大SENGへの留学ができてとてもよかったように感じますね。ところで、香港科技大はアジア4位という名門大学ですが、実は一部の日本人学生から、自分で大丈夫かな、入れるかな、という心配を聞いたことがあります。宮崎さんから、何か準備にあたってのコツがありますか。

M:
今の現状として香港科技大では、日本人というだけで希少価値があるので学部での成績や課されたエッセイ等に問題がなく、教授の目に留まればなんなく入学することはできると思いますね。みなさんもうリサーチはされてると思うんですが、入学にあたっては、GPA、エッセイ、推薦状、英語の提出が必要になります。僕の場合、この提出書類よりも気を遣うように心がけたことが、教授へのコンタクトです。研究したい内容と先生を決定した後、すぐにその教授にメールを送りました。大体教授らは忙しいので返事は返ってこないものだと思いメールしたんですが、2日後に返事をいただきCVを送ってくれと言われました。ここで気を付けたことはメール内で適切な英語を使うことですね。こっちにきて思ったのですが、日本人は英語ができないと思われているみたいなので全然使えますよ、ということをしっかりアピールしたほうがいいでしょう。教授にアプローチした時点でもうすでに選考は始まっていると考えてましょう。
あと、僕の場合は科技大にApplyする前、香港の雰囲気を感じるため、教授に会うために、実際に香港に足を運びましたね。これにはさすがの教授も少し驚いていたみたいですが、香港って日本から近いのですぐいけますし、Applyする前にそのキャンパス、土地の雰囲気を確認するのは当然だと思いましたね。

S:
多くの日本人学生は、自分の英語力に少々心配ですが、宮崎さんはどうやって英語テストを突破できましたか。

M:
僕の場合、学部時代に仲のいい友人の半数が留学生であったこともあり、学部の4年間でほぼ毎日どこかで英語を使っていた気がします。もともと高校のとき英語は大の苦手でしたが、大学に入って学内に外国人がいることに興奮して彼らにつたない英語で話しかけまくったことからすべては始まったと思っています。
正直香港科技大学が課しているTOEFL、IELTSはそんなに高い点数だとは思いません。英語に自信のない方はIELTSを受けることをお勧めします。高校英語で結構点数取れてしまうと思います。受験料は高いので悩む気持ちもわかるのですが、自分への投資だと思って、一度受けてみたらいいかと思います。自分の英語のレベルを知るいい機会にもなりますしね。自分のレベルがわかったらあとは参考書使いながら勉強するしかないですよね。もうそうなったらやるしかないんです。隙間時間を使ってしっかり勉強するしかないですね。とりあえず入っている予定はすべてキャンセルするぐらいの勢いで英語を勉強するときっと点数取れると思います。ちなみに僕の最初のIELTSは学部4年の6月でした。一回受けてみようと思って受けたらなんと一発で科技大の条件クリアしました。ほんと一回受けてみてください。
それよりも、英語に関してもっと大切なことは、外国に行って一番使うのは間違いなくスピーキングだということです。研究室の人、イベント等香港科技大にきて英語を毎日使うようになります。どの国もそうですが、日本人も独特の発音を持っていると言われています。僕も香港に来ていろんな方とお話する機会があるんですが、会話はスムーズにできるときとできないときがありました。こちらにきてスムーズに多くの人と交流できるように適切な英語の発音で会話できるように心がけて勉強するとこちらに来た後もスムーズにコミュニケーションできると思います。
僕個人的な意見なのですが、実用的な英語を身に着けるなら英語を勉強する時間の50%リーディング、ボキャブラリーの勉強、50%は英語をリスニング、スピーキング(つまり会話)にあてるのが一番いいと思いますね。ずっと机上で英語を勉強しても実用的な英語の言い回しは身に付かないと思いますし、それが本当にあなたの発音で通じるかは話してみないとわからないですよね。英語で会話をするということは皆さんが思っているよりも大切なことだと思います。せっかく学内に留学生がいるなら思い切って話しかけてもいいでしょうし、ESSに入るのもよし、もしかしたらあなたが知らないだけで、大学主催で英語を話せるスペース等用意されているかもしれませんよ?

S:
なるほど、本当にいろいろとありがとうございます。ご経験やいただいたアドバイスなど、これから日本人学生向けに公開させていただきます。多くの学生のよい参考になると思います。
これからも、香港科技大SENGで、ますますのご活躍を期待しています。またお話しましょう。

M:いえいえ、こちらこそありがとうございます。僕のインタビューを通してSENGや科技大に関する情報がない人、迷っている人を少しでも手助けできたらなと思います。僕でよかったら連絡くれればいつでも生情報をお伝えできるんで、もし質問あったら、ぜひご連絡くださいね。
僕の科技大に来る前の情報収集方法はフェイスブックでした。学校のサイトで奨学金の名前調べ、それをもらっている当時の香港科技大学の学生の名前をプロモーションムービーから見つけ出し、メッセージ送りました。相手の方も気さくな方でたくさん情報をくださったので非常に助かったのを覚えています。今年からはSENGJPさんが日本人学生さんとSENGとの連絡役になっていただけるみたいなのでもう僕がやったことはしなくていいと思いますけどね。
最後になりますが、これからの時代は将来がまったく予想のつかない時代になっていくと思います。将来何が起こってもいいようにこれから先、自分自身を高める必要が個々に求められてくると思っています。自分の勘と自分の意志を信じて頑張ってください。
それでは皆さんからのご連絡お待ちしていますね(笑)