2020年香港科技大学工学院 Computer Science and Engineering 専攻に秋入学した学生、執行 健人さんに協力してもらって、2018年Summer Campに参加したときの体験をシェアしてもらいます。

HKUST SENG Summer Camp 2018 Report

by 執行 健人

香港科技大学工学院 (HKUST School of Engineering)のサマーキャンプに参加してきました. 1週間で様々な活動を通し,大学のことをよく知ることができるプログラムです.対象は学部の3年生と修士課程1年生の学生で,世界各国から70人ほどの学生が集まりました.今年は中国とインドの学生が多く,他にカナダ,フランス,イギリス,フィリピン,韓国など様々な国の学生が参加し,香港科技大での生活を体験して交流を深めました.

2018年度のサマーキャンプは7月15日(土)~7月21日(日)にかけて開催されました.初日と最終日は到着・帰国のために費やされるため,キャンプのプログラムは主に間の5日間に渡って行われました.キャンパスツアーや先生によるアカデミックトークなど大学内の活動だけではなく,香港トップクラスの研究所に訪問したり,人気の観光スポットへ行ったりなど大学外でのプログラムもありました.香港科技大と香港への理解を深めることができた非常に有意義なキャンプでした.

いざ香港へ

香港は中国南部の広東省の南に隣接しており,台湾から西へ約800km(飛行機で1時間半くらい)のところにあります.関西国際空港からだと4時間ほどで着いて,時差は1時間ほどなので体調の心配はありません.香港西部にある香港国際空港はアジアを代表するハブ空港として世界各国と国際線で繋がっています.ターミナルは関空と同じように2つあるため規模が大きく,中には食料品店やお土産屋さんのほか,時計やカバンなど高級ブランド店もたくさん入っていました.

交通機関

香港では公共交通機関が発達していて,空港に直結している駅から電車でほぼ香港全域に行くことができます.空港から大学のキャンパスまでは電車で1時間,最寄りの駅からバスに乗って10分ほどで着きました.香港では広東語と英語が公用語で,空港や駅のスタッフは英語が話せます.私は香港に行くのが初めてで駅の乗り継ぎやチケットの買い方がよく分かりませんでしたが,駅員さんに聞いてたどり着くことができました.移動の際にはプリペイド式の「オクトパスカード」を使えば電車やバスをスムーズに利用することができます.このカードは交通機関だけではなく街中のお店や大学のレストランでも使えてとても便利でした.

キャンパス

バス停から少し歩いて大学キャンパスに入ると,炎のような赤い大きなオブジェを見つけました.後から聞くとこのオブジェは日時計になっており,香港科技大のトレードマークになっているようです.キャンパスは比較的海抜が高いところに建てられているので,すぐ横にある素晴らしい海の眺めを目にすることができます.キャンパス内にはスーパーや病院,銀行や理容店など色々あって,街まで出なくても日常生活に困らないようになっていました.

大学は夏休み中でしたが,学生の姿はけっこう見かけました.キャンパスを歩いているとサマーキャンプのブースを見つけ,学生さんが受付場所まで案内してくれました.受付を済ませ,参加者が泊まる学生寮まで案内してもらいました.

宿泊施設

サマーキャンプの参加者は大学の学部生用の寮に宿泊することになっていました.部屋は2人部屋で机とベッドの他にクーラーと冷蔵庫が完備されており,快適に過ごすことができます.フロアごとにトイレとシャワールームがあって,共用スペースではテレビを見れました.部屋にはカード式のキーで出入りでき,寮には何人か守衛さんがいるので安心です.洗濯と乾燥はまとめて1回200円くらいでやってもらえます.

初日の夜はキャンパス内のレストランでウェルカムディナーがありました.8人1グループで席に付き,自己紹介などを通してお互いのことを知ることができました.

サマーキャンプは大学にある7つの研究科(※)による合同で行われるため, 各研究科から何人か選ばれてグループが作られます.プログラムでは主にこのグループで行動します.

  • Bioengineering
  • Chemical & Biomolecular Engineering
  • Civil & Environmental Engineering
  • Computer Science & Engineering
  • Electronic & Computer Engineering
  • Industrial Engineering & Decision Analytics
  • Mechanical & Aerospace Engineering

二日目からはスケジュールに沿って各プログラムに参加します.参加者全員で教室に集まって大学の紹介や先生の模擬講義を聞いたり,研究科ごとに研究施設を訪問したりなど大学のことをよく知れるようになっています.

アカデミックトーク

アカデミックトークでは何日かにかけて90分の模擬講義が5回あり,ヘルスケア,金融工学,機械学習といった分野の他に,コミュニケーションの授業を受けることができました.講義は座って聞いているだけではなく,グループでのワークショップや活発な質疑応答がされていました.使用言語は英語で,ネイティブではない学生も英語を流暢に話せる学生が多く,語学レベルは全体的に高いと感じました.

キャンパスツアー

二日目のキャンパスツアーでは大学内の施設を見学しました.各グループごとに大学の学生が案内してくれます.図書館(Lee Shau Kee Library)は地下を含めて5階建てでかなり広かったです.コンピューターや3Dプリンターが使えるほか,自習スペースやグループワークルームなどもたくさんありました.大学の試験期間が近づくと勉強する学生たちでいっぱいになるそうです.

学生が利用できるトレーニングルームも完備されていました.他にトラック・フィールドやプールもあって研究のリフレッシュに使えそうです.体育会系のクラブ活動が盛んなようで,トレーニングルームの入り口には大量のトロフィーやメダルが飾られていました.

研究科セッション

3日目にあった研究科セッションでは研究科ごとに教室や研究施設の見学をしました.私はコンピュータ・サイエンスのグループに所属していたので,教室や研究室のほか,ビッグデータの研究所などを見て回りました.教室は少人数から数十人入れる部屋がいくつもあり,コンピューターが設置されている教室もありました.

学生の研究室は何部屋かあり,下の写真の研究室の場合10人ほど入れるスペースで,ロボットやモーションキャプチャに使う装置などがありました.研究のため学生一人ひとりにコンピュータが支給されているようです.ビッグデータの研究所では学生の方にそこで行われている研究について紹介してもらいました.企業との共同研究も多くされているようです.

先生とのミーティング

4日目の夕方には大学の先生と個人的にお話しできる時間が設けられていました.私は料理レシピデータを可視化する研究をしていたので,ビッグデータやデータビジュアライゼーションについて主に研究している先生にキャンプ前からアポを取り,お話しさせていただきました.香港科技大へのインターンや進学を考えている場合,先生との関係構築は非常に重要です.サマーキャンプに参加するならば興味のある先生と直接話せるチャンスなので,必ずアポを取って会ってみることをお勧めします.私にとって先生との関係ができたことがサマーキャンプの最大の収穫でした.その機会に先生の研究室の学生とも話せたので,研究室の様子や雰囲気がよく分かりました.

サイエンスパーク

5日目には香港の中心部にあるサイエンスパークに訪問し,レゴブロックを組み立ててロボットを作るワークショップに参加しました.4人1グループで用意されたパーツをマニュアルに従って組み立て,ラジコンのようなロボットを作りました.操作はScratchという教育用の簡単なプログラミング言語でコントロールするので,コンピュータサイエンスの学生でなくても楽しんで取り組めていました.ちなみにキャンパス外でのプログラムでは配られた紫色のTシャツを着て活動することになります.大学のロゴが入っているのでサマーキャンプのいい記念になります.

香港観光

6日目はプログラムとして観光に行きました.大学からバスに1時間ほど乗って香港西部のヴィクトリア・ピークまで行き,ロープウェイで山頂まで登りました.頂上までは片道15分ほどで,トラムからは香港の街並みや海がよく見えて眺めが最高でした.ここは香港観光の定番スポットとして人気で,夜に頂上から見下ろすヴィクトリア・ハーバーの景色は世界三大夜景の一つとして知られています.頂上には展望台の他にショッピングセンターやお寺があり,自由時間にたっぷり散策することができました.

食事について

朝と夜の食事は主にキャンパス内のレストランでルームメイトや友達ととりました.キャンパス内にはいくつかレストランがあって,中華・洋食・日本食など色んなメニューから選べます.値段はそれほど高くなく,だいたい400円で食べられます.特に香辛料や辛いスパイスは使われていなくて,どれも美味しく食べられました.私が食べた中ではローストチキン丼が特に美味しかったです.昼はプログラムの合間に弁当やサンドイッチが配られたので教室などで食べていました.

キャンパス内にはレストランの隣にバーもあって知り合った学生と行きました.青島ビールが冷えていて美味しかったです.

Farewell Dinner

6日目の夜にはサマーキャンプの締めくくりとしてFarewell Dinnerがあり,各グループでサマーキャンプから得た体験などを発表しました.歌やダンスを披露したグループもあって盛り上がりました.

まとめ

1週間のサマーキャンプに参加したことで香港科技大がグッと身近なものになりました.大学というアカデミックな場所で実際に英語を話す経験ができ,海外の優秀な学生たちと接したことで良い刺激を受けました.今後はこの経験を活かし,香港科技大のインターンシッププログラムへの参加を考えています.

最後に

大事なので繰り返しになりますが,サマーキャンプで最も良かったことは先生とのコネクションができたことです.先生とのつながりがあれば,香港科技大の修士課程や博士課程に進学できる可能性が高まり,将来の選択肢を増やすことができます.キャンプ参加時に進学に興味がない場合でも,後々心変わりする可能性もあるので選択肢を作っておいて損はないでしょう.キャンプに参加しようと思うのであれば,興味のある先生と個人的に話をすることを第一に考えることをお勧めします.