留学のための英語学習・受験の心得

こんにちは、日本人留学支援グループリーダーのKenです。

先日、あるきっかけで海外留学を準備中の日本人学生、および中国から来日した留学生に、英語学習・受験についていろいろと聞きました。二人はかなり英語力が強く、英語の試験(TOEICやTOEFL)も高い点数をとっています。二人の英語勉強の原点や受験の研究など、皆さんにも参考になればと思い、ここで要点をまとめてみました。

日本と海外、英語の勉強においてどのような違いがあるのでしょう。さっそく見てみましょう!

日本人学生: 
K君 神戸大学大学院国際文化学研究科修士課程2年生
(TOEFL 84/120)

中国人留学生: 
Y君 神戸大学大学院工学研究科博士課程3年生
(TOEFL 111/120, TOEIC 985)

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●いつ頃英語を勉強しはじめたか
K君
5歳から英会話教室で英語に触れ始めて、主にネイティブの先生とゲームなどをしながら英語に親しむ程度でした。
Y君
小学校4年生から英語を勉強し始めたが、必須科目として結構真面目に英語学習に取り組みました。

二人の経験をみて、このスタートの違いが結構面白いですね、ゲーム感覚 VS 本格的。

●自分の英語力がずいぶん向上したと実感した頃はいつ
K君
大学の頃。大学に入ってから発音の練習に力を入れ、自分なりにうまく発音できるようになったと思った時です。
Y君
英語を勉強して間もなく英語の試験で高い点数をとったということから、自分の英語力が周囲と比べずいぶん強くなったと感じました。

二人の話から見ると、中国では幼い頃から競争意識が強く、周囲との比較のなかで進んでいくように感じました。

●英語をもっと上手になりたいと強く思った頃はいつ
K君
大学の頃。発音が上達すると単語や例文を声に出すことが楽しくなり、もっと英語を流暢に話せるようになりたい。また、大学の英語の授業で英語を流暢に話す中国や韓国からの留学生と接したことで、,「自分も負けていられない」「もっと上達しなければ」と思いました。
Y君
最初はハリポッターの小説に難しい単語が多すぎて理解できない、英語ネイティブの方が書いた文章が読めないなど、自分の無力に痛感したことから、英語をもっと上手になりたいと強く思いました。

二人とも、自分の不足に気づき、悔しい気持ちがいっぱいなかで立ち上がり、努力で強い英語力を身につけましたね。その悔しさと強くなりたい気持ちが、英語を上達させる一つの大きな原動力となったでしょう。

●英語力を測るものといえば、様々な英語試験があります。自分がどういう英語試験をうけましたか。よかったら英語試験をうけた感想をシェアしてください。
K君
英語の試験はTOEFLとTOEICを受けました。私が通っている大学では、大学が受験料を持ってくれる制度があります。それを利用して,学部生の時にTOEFL ITP(団体用の試験)とTOEICを受験しました。どちらも英語のリーディング・リスニングの問題を短時間でなるべく多く解く能力を測る試験であると思います。
また修士課程に入ってからは短期・長期留学のためにTOEFLE iTPを受けました。コンピュータを使って英語のリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの能力を測る試験です。この試験の特徴は,英語を使って論理的な思考ができるかどうかを試される点にあります。単語や文法を暗記するだけではなく、英語で論理的に考えて自分の意見をアウトプットできるようになれば、高得点を取ることができます。
Y君
大学に入る前には中学・高校の定期試験、大学からは国家が主催した標準英語テスト(大学英語四六級テスト)及びTOEFL・GREを受けました。来日後TOEICも受験しました。
日本で一番よく知られている英語テストはTOEICでしょう。TOEICは主にビジネス場面で使われた英語について受験者の英語力を測ります。問題自体はそれほど難しくないが、聴解・読解100問ずつの問題量があるのでそれなりの解答速度を求められています。ちなみにこの試験は800点を取れる実力がないと全問解答不可能のように設計されているといわれています。この試験の対策をきちんと取れば、ビジネスコミュニケーションのための英語力を身につけることができるが、もっと高い英語力が必要の場合(海外留学など)、TOEIC対策だけでは足りないと私は考えています。
TOEFLは主に渡米留学生を対象とした英語試験ですが、最近米国だけではなく世界的に認められています。このTOEFL試験は、読解・聴解のみならず話す能力・書く能力に関する問題も出てきて、問題の難易度も前述のTOEICより断然難しい。例えば聴解の文章は3-4分間大学講義のような内容が流されていて、その後6つほどの質問がなされます。英語力だけでなく集中力も問われていると思います。話す能力を測るスピーキング問題は、1問における準備時間は15秒前後しかなく、その後45秒―1分間の回答を求められます。もちろん15秒間では原稿をまるごと用意することはできず、即座にキーワードを脳の中で考えて文に整理する能力がないと高得点は取れないはず。このため、TOEFLの試験対策をまともにとれば、英語を渡米留学生レベルに上達することも過言ではないと思います。
GREは、ほかの試験とは違って「英語力」を試すことはない。その代わりに英語で出題され、論理的な思考が測られます。普段あまり目にしない難しい単語も現れるといわれています。さらに、30分間で500-600語の小論文を書かせられるため現行一番難しい「英語試験」とも言えます。GRE試験で高得点をとれる方は間違いなくネイティブ並みの英語力(読む・書く)を持っていると思います。余談ですが、このGREテストの準備をしていた時は私だけではなく、同級生・友人のほぼ全員が苦戦していたとの記憶があります。

二人は自分が経験した英語試験についてよく要点をまとめてくれていますね。確かに英語試験といえば、TOEICがよく知られています。ところが、TOEIC試験が日本と韓国以外の国ではあまり通用しないともよく言われています。もし海外留学または海外で働くことを検討しているなら、TOEFLを目指して勉強することがおすすめです。
ちなみに、英国留学のためにもう一つのIELTSという英語試験が、イギリス英語圏ではよく認められているので、イギリス英語圏を視野に入れているなら、ぜひ調べてみてください。
GREは、確かに難しいですね。私のほうも苦戦していました。

●英語試験の点数を上げるには、自分がどのような作戦をとりましたか。
K君
80/120点(私が留学したい大学の入学条件)を超えることを目標とし、参考書を利用して独学で勉強をしていました。大学受験での勉強を活かし、リーディングとリスニングではほぼ満点をとれるようにしました。
Y君
最小限の試験対策しかとれなかった(eg. 模擬問題をたくさんやる)。点数を上げるには付け焼き刃のようなやり方が自分には通用せず、自分の英語力を上げるしかないと考えていました。
普段はこまめに英語の動画・映画を視聴し、英語の本を読む、そして英語に親しむチャンスを作ることを常に心掛けています。わからない表現や単語に出会ったらすぐ調べて、印象に残る程度でもいいのですぐ覚えていくようにしました(ちなみに私は同じ方法で日本語を勉強しています)。また、英語の応用力(話す・書く)と英語のインプット能力(読む・聞く)は全く別の能力といってもいいので、応用力を上げるには外国人とコミュニケーションするチャンスを見逃さないほうがいいと強く思います。なお、日本では和製英語の影響が結構あるので(eg. 「エントリーシート」、「バイキング」、「ワイシャツ」など)、和製英語がそのままでは英語ではないということを常に強く意識します。英語の世界で使われている英語をしっかりと覚えて、ネイティブな表現を学ぶことをおすすめします。

●英語力の強化において自分がかなり注力したのがどういう面でしょうか。
K君
苦手意識があったスピーキングである程度点数をとれるようにするため、特に文法パターンを身につけようとしました。文法の参考書の例文を音読し、パターンを覚えていきました。
Y君
読解力とコミュニケーション力(会話力)です。

二人とも話すという面にはかなり力を入れていますね。英語が一つの科目というより、人と人とのコミュニケーションのためにあるとの点、二人とも強く認識しているようです。

●英語力を向上させる原動力の一つとして、海外留学のためというのが自分のなかで一番大事でしょうか。留学のほかに何かありますか。
K君
直近の目標として海外留学があり、そのために今でも英語の勉強を続けています。
自分の英語能力、特にスピーキングはまだ未熟だと思うが、英語を使って一番うれしいと感じた時は、短期留学先で先生や学生と英語でコミュニケーションをとれた時です。自分の英語が通じたことで、もっと英語でうまく自分が考えていることを伝えられるようになりたいという意欲が湧きました。
Y君
そうではないと思います。
言語に興味を持つ、英語・日本語をツールとして自分の世界をもっと広げたいとの思いが、私の英語力を向上させる原動力です。

やはり世界の人々との交流を通じて自分の世界をもっと広げたい思いが、英語を勉強する大きな原動力になりますね。

●同じ学生として、英語をもっと上手になりたい後輩たちに何かアドバイスがありますか。自分の経験で結構ですので、よろしくお願いします。
K君
英語をもっとうまく使えるようになりたいと思っている方は、まず発音の練習に力を入れると良いと思います。うまく発音できるようになると自分が話す英語に自信を持て、英語の勉強が楽しくなります。また学習者が英語で考えて話すためには、英文法を身につけることが欠かせません。文法パターンごとにいくつかの例文が載っている参考書を何度も音読して覚えることをおすすめします。
Y君
英語に親しむ環境を作ることに常に心掛け、普段は英語の動画・映画の鑑賞や読書などを生活の一部にすることがおすすめです。わからない表現や単語があったらすぐ調べて、印象に残る程度でもいいので覚えておく。また、英語の応用力(話す・書く)と英語のインプット能力(読む・聞く)は全く別の能力といってもいいので、応用力を上げるには外国人とコミュニケーションするチャンスを掴んで練習しましょう。なお、日本にいると和製英語の影響が受けやすいため、和製英語が英語ではないことを強く意識し、ネイティブな表現をしっかり学ぶことをおすすめします。

同じ学生としても、日本と中国という英語教育の異なる環境で学んできたから、二人のアドバイスの違いが見られますね。参考書・文法中心 vs 応用・実践中心 というイメージを受けています。どちらも英語力の向上に欠かせないので、皆さんはそれらを参考にして、自分の強みと不足をしっかり理解したうえ、自分なりの英語勉強法で進めていけばいいと思います。

ちなみに、私がかつてイギリスの植民地であった香港出身のため、イギリス式の英語教育を受けていました。日本にくると和製英語にはかなりアレルギーがあります。特にカタカナ表現は、まだまだ馴染んでいません。おそらく逆の立場にいる日本人学生の皆さんにとって、和製英語からネイティブの英語に切り替えることが容易ではないだろうと理解しています。しかしその一方で、努力と自分に適した勉強法により、この課題を克服することができれば、一生お役に立つだけでなく、その喜びもきっと大きいでしょう。

ぜひ頑張ってください!!

次回の英語学習・受験のシェアには、英語試験のコツについてもう少し書きたいと思います。

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