香港科技大学留学を選ぶポイントと留意点
香港科技大学留学の出願と給付型奨学金申請が9月に始まる
香港科技大学は多くの海外大学と同じ秋入学のため、大学院留学の出願は9月に始まります。締め切りは専門によって異なるので、予め調べておくことをおすすめします。
なお、給付型奨学金の申請も9月にスタートすることが多いです。うまく通れば返済の必要がなくもらうだけなので、大学院留学の出願よりは給付型奨学金申請にあたって用意する資料が多いかもしれません。給付型奨学金があれば留学がだいぶ楽になるから、時間の余裕をもって準備することがおすすめです。
香港科技大学への留学に興味があったら、まず締め切りを的確に把握しスケジュールを立てましょう。
もうすぐ来年度の留学出願が始まるので、香港科技大学や香港留学に未だに詳しくなっていない学生のために、少し留学検討のポイントをまとめました。参考になればと思います。
香港科技大学について
海外留学といえば、多くの学生にとって欧米留学が主流のようです。香港留学または香港の大学についてまだイメージを持っていない学生が結構いると思うので、まずは参考になりそうなファクトをまとめてみました。
香港科技大学
・1991年に設置された公立大学(日本の国立大学と同様な位置付け)
・2021年世界大学ランキング27位(QS)
・工学専門で世界24位(QS)
・Computer Scienceで世界26位(TIME)
・Civil & Structural Engineeringで世界20位(OS)
・EMBAコースが世界TOPクラスで3年間連続でアジア1位
・大学院全体学生の内訳:西洋圏3割、アジア圏5割、香港本土2割程度
・英語が主要言語として使われている
・多くの欧米大学と学術交流協定を締結し、留学プログラムが充実
・産学連携重視、インターンシップや起業サポートのプログラムがたくさん
・海に近くキャンパスがとても綺麗
香港科技大学留学を選ぶポイント
こちらの日本人香港科技大学留学支援グループには科技大留学経験をもつメンバーが多いので、私たちの経験をもとに科技大留学を選ぶポイントをまとめてみました。なぜ科技大留学を選んだかは主に下記の理由です。よかったら参考にしてください。
給付型奨学金がかなり潤沢
奨学金といえば、よく知られているように日本では多くの「奨学金」が返済義務付きの教育ローンに近いものです。一方、香港科技大学大学院留学の場合、Scholarshipと名付けられているものはすべて返済必要のない給付型奨学金です。以前ある日本人学生が科技大の給付型奨学金の情報を両親にシェアすると、年間300万円の奨学金ってうち返せないよと両親が心配していたそうです。それは日本の独特なシステムと背景で多くの学生が誤解させられたかもしれないが、本来ならばScholarshipというのは返す必要のないもので、返済義務が付いているものはローンと言います。
まずこれを重要なポイントとして認識しておきましょう。
科技大の場合、主に3つの給付型奨学金が用意されています。
Postgraduate Studentship Awards (PGS):年間300万円程度、MPhilとPhDの入学が認められれば基本付いている。
Asian Future Leaders Scholarship Program (AFLSP):年間280万円程度、東・東南アジア出身の学生を対象にした香港民間団体の奨学金で主にMasterコースをサポート。
Hong Kong PhD Fellowship Scheme (HKPFS):香港最高ランク奨学金、香港政府による年間450万円程度の奨学金+年間20万円程度の海外渡航補助。
ほかにHKUST RedBird PhD Scholarshipという年間最大70万円程度の奨学金、MScコースの留学生向けの合計200万円の奨学金が用意されています。
日本ではあり得ないほどの給付型奨学金がたくさん用意されているので、これは学生にとって科技大を選ぶ大きなポイントかもしれません。実際に科技大留学経験のある私たちにとっても大変ありがたいと思っています。
アジアTOPクラスの大学の一つ、特にある学術分野では高評価
香港科技大学は世界大学ランキングで結構上位だし、ある専門分野では(例えば国際ビジネス、Computer Science、Data Science、Civil Engineering等)高く評価されている点も、私たちが最初科技大を選んだ理由の一つです。
実際に留学してわかったのは、専門分野が高評価ということで結構メリットが多いです。高評価されることで世界から優秀な先生と学生が結集し、当該分野の企業も人材を探しに集まります(求人、インターンシップ、就職フェア参加)。そこで人、金、物、ネットワークなどの資源が集中して、多様なチャンスが生まれてきています。これから就職する学生だけでなく、おそらくキャリアアップしたい社会人の方にも、この点は結構大事なポイントかもしれません。
中国の技術発展に興味ある方は、科技大工学院への留学がおすすめ
おそらくアジア留学に目を向けている方は、近年アジアにおける技術の発展、とりわけ中国のITやDT技術の発展に驚きを感じ、自らの目で確かめたいしもっと知りたいと考えられているかもしれません。中国の技術的な発展に強く興味を持つなら、香港科技大学工学院への留学がおすすめです。
かつてイギリスの植民地だった香港は、97年中国への返還後、特別な位置付けとなっています。高等教育の主要言語はまだ英語で、大学のシステムも基本アメリカ式またはイギリス式のままです。一方、香港の大学は結構早い段階で中国国内の大学や企業との連携をスタートしました。香港科技大学はそういう連携を強く進めている大学なので、現在中国国内のTOPクラスの大学やアリババなどの大手企業と一緒様々な連携プログラムを行っています。前者は学術交流のプログラムで、後者は共同研究・共同人材育成のプログラムで大学のなかの企業ラボで行っています。
この背景は科技大留学の前にあまり知らなかったが、実際に留学に行くと、科技大が積極的に中国の技術的発展を担う学術機関・大手企業と連携していることがよくわかりました。
うちのグループに中国に興味をもつメンバーが結構いるが、なぜ最初は中国に行かず香港科技大学への留学を選んだか。中国語が得意ではないというのが一つの理由で、もう一つは英語で学び研究する環境にいたいと思ったからです。中国国内にいると確かに中国の現状を肌で感じることができるが、一方で英語が使わなくなる可能性が結構高いため、できれば英語や欧米とのネットワークをキープしながら中国の発展を観察できる環境にいるほうが良いと考えました。その経験から、中国の技術的な発展をもっと理解したい方には、科技大工学院への留学を強くおすすめしたいと思います。
海外でのハイテック起業を狙う方に科技大が良い環境かもしれない
香港科技大学留学にもう一つおすすめのポイントは、ハイテック起業へのサポート環境が整っているところにあります。科技大には学生・教職員起業をサポートするセンター(HKUST Entrepreneurship Center)が設置されており、起業関連のコースやトレーニングプログラムを提供するとともに、起業に必要な初期資金や融資などの斡旋もしています。毎年様々な起業ビジネスコンテストも行っています。優勝したチームには数百万円程度の賞金を起業ファンドとして提供します。
また科技大自身がハイテック起業への投資も行っているようです。今までたくさんの科技大発ベンチャーの発展に寄与しているが、一番有名なのはおそらくドローン企業のDJIです。DJIは科技大航空工学専門で修士号を取得したワン・タオという方が2006年に創業した企業で、最初の頃は科技大の投資をうけて発展したようです。
科技大の学生起業サポートについて、詳細はHKUST Entrepreneurship CenterのHPをご覧ください。
香港科技大学留学の検討における留意点
香港科技大学の留学が自分にとって良いかどうかの検討においては、上述した選ぶポイントとともにちょっと留意点もまとめておきます。多くの日本人学生にとって香港留学はまだイメージが薄いので、以下参考になればと思います。
英語を主に使う環境とはいえ、基本中国文化圏
香港の大学キャンパスのなかでは、授業や研究などにおいてほとんど英語を使う一方、普段の生活は中国語(北京語・広東語)が混ざった環境となります。中国に興味があり留学を機会に中国語や中国文化を学ぼうと考える学生には大変良い環境だが、英語の上達を主要な目的として考えている学生にとっては、香港留学より欧米英語圏への留学がおすすめです。
香港の大学で取得した学位が就職に有利かどうかは業界・企業次第
香港科技大学はアジアTOPクラスの大学だし、毎年世界ランキングの審査に参加しています。科技大で取得した学位が世界的に認められることはたぶん疑われないでしょう。ところが、科技大の学位が日本における就職に有利かどうかは、私たちの経験からみると、おそらく業界・企業次第かと思います。
例えばITとDTの業界では、科技大の専門的な学位が結構評価されるようです。特にアジアの事業にフォーカスしている企業は、専門知識だけでなく科技大で得た経験も重要視します。一方で、欧米とのビジネスに重点を置いた企業または日本国内の事業を主にしている企業は、香港の大学で取った学位を高く評価しないかもしれません。科技大留学の検討としては、一度自分が将来入りたい業界・企業について予め調べておくことがおすすめです。
ちなみに、科技大留学でわかったことだが、一部の日本企業が科技大の就職フェアに参加しているようです。日本の企業だが積極的にアジアの人材を探すところから、たぶんそういうタイプの日本企業が科技大で取得した学位と経験を高評価するかもしれません。
香港の亜熱帯気候に慣れない可能性も
香港は亜熱帯に属し暑い季節が長い都市です。そして湿気も結構高いです。ずっと日本にいてあまり南の国に行ったことのない方にとっては、香港の亜熱帯気候に慣れず病気になりやすい可能性があります。また、香港では室内温度(とくにショッピングモール)が強い空調によって低く調節されているので、長時間のクーラーになれない方はつらく感じることもあるかもしれません。
もし亜熱帯の国に行ったことがあったら、その経験をもとに少し香港の気候に対する体の状況を予想してみても良いかもしれません。
最後に
以上、私たちの経験をもとに香港科技大学留学を選ぶポイントと留意点についてまとめました。もちろんほかにもおすすめのポイントと要注意のところがあるが、総合的にみると、もし中国の技術的な発展に興味をもち、将来中国の技術産業にかかわるハイテック業界に入りたいと思ったら、香港科技大学工学院への留学が強大変魅力的に思います。
アジアTOPクラスの大学とはいえ、私たちの経験からいうと、日本人にとっては比較的にハードルの低い大学かもしれません。その主な理由は、現在科技大へ留学する日本人が少なく日本という地域における競争がとても低い点にあります。実際に留学すると、科技大が海外学生を選ぶとき、ある程度国のバランスを配慮しているように感じました。つまり、海外学生の何割が欧米から、何割が東南アジアから、何割が日本からなどが決まっているようです。そうすると、同じ日本からの学生が少ない場合、競争もだいぶ少なくなります。科技大留学に興味があったら、今が良いタイミングかもしれません。そのために余裕をもって準備を整えましょう。
About us
私たちは日本人学生の香港科技大学留学を支援したい有志たちのグループです。メンバーには香港科技大学留学中(とくに工学院)の日本人学生、香港科技大学の留学を修了したOB/OG、日本の国立大学で国際交流・留学サポートを担当している先輩がいます。
香港科技大学工学院(大学院工学研究科)の留学担当スタッフと連携して、
私たちの経験とともに給付型奨学金・コース・お勧めの先生・キャリアアップ・コロナの対応などの情報をまとめてアップしています。
↓香港科技大学工学院日本人留学特別支援サイト
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