香港科技大学工学院マスターコース1年生の加藤さんにインタビューしました。
理学数学科から工学ビッグデータ・機械学習へうまく専門を変更した経験とともに、マスター学位の種類の違い(MScとMPhil)、コロナの影響による留学現状や、アジア留学とキャリアアップについて、いろいろとシェアしてくれました。

Kato san→K

Staff→S

S:加藤さん、こんにちは。お忙しいなかで、今回インタビューを受けていただいてありがとうございます。香港科技大学工学院(以下SENG)在籍している日本人留学生の一人として、よかったらまず簡単な自己紹介から、少し経歴について教えていただきたいと思います。

K:こんにちは。SENGの加藤大介です。よろしくお願いいたします。
はい、それでは簡単な自己紹介をさせていただきたいと思います。僕は国内の理学部数学科で解析学を専攻した後に、現在SENGでビッグデータと機械学習を学んでいます。修士課程ではまるっきり自分にとって新しい分野を学んでおります。修士から専攻を変えるというのは、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが少なくとも香港・中国では特段不思議なことではありません。もちろん、非常に忙しく大変ですが、本人のやる気でカバーできます。毎日新しい事ばかり学ぶので新鮮ですが、いつもいっぱいいっぱいです(笑)。しかしながら、優秀な友人と親切な教授・TAに助けられながら充実した生活を送っております。

S:海外大学院進学の場合、Master of Science(MSc)とMaster of Philosophy(MPhil)という二種類のプログラムがありますが、その違いについて、多くの学生からよく質問があります。ご自身の経験で結構ですので、少し把握していることをシェアしていただけませんか。

K:はい、ざっくり言いますと、MScは1年から1年半で専門知識を集中的に学びます。短い期間に色々詰め込みますので単純に忙しいですね…レポートとテスト、企業(もしくは教授)とのプロジェクトに追われながら日々を過ごす感じです(笑)中国人の博士課程に進んだ友人に、「MScはめちゃくちゃ忙しいよ…」と言われたので、入学前からドキドキしていました。
一気に学べるので、社会人の方やサクッと専門知識を学んでキャリアップしたい学生がメインですね。ただ、MScを終えた後に博士課程に進む学生もいますので一概には言えませんね。

MSPhilは研究メインのプログラムです。おそらく日本と同じような感じで、2年以上をかけて単位を取りながら自分の研究をしていく感じですね。香港はアメリカと同じように、修士課程と博士課程に分かれております。学部を出た後に、博士を取りたい学生は修士課程に進まずに直接博士課程に応募します。もちろん、MSPhilを終えた後に博士課程に進む学生もいます。他にも、博士課程に在籍していたけど途中でMSPhilに切り替える学生もいます。

S:なるほど、そういう特徴がありますね。ちなみに、MScはキャリアアップのためのプログラムだとよく言われています。加藤さん自身の場合、MScを選んだ主な理由は何でしょうか。

K:僕は元々博士課程の進学を考えていたのですが、大学院では専攻を変えましたので、そのまま博士に進むには知識と経験不足だと思いましたのでMScを選びました。あと、奨学金の存在も大きかったと思います。AFLSPから学費と生活費をカバーしていただけたのも大きな理由です。キャリアップのために来ている学生も多くいます。実際、僕の友人のほとんどは卒業後に就職します。おそらく、短期間で集中的に学べるのがMScの魅力だと思います。

S:ところで、2020年はいろんな大きな出来事があった年ですが、とくにコロナの影響は、世界全体に衝撃をもたらしています。留学しないほうがいいよと、周りからよく言われています。加藤さんの場合、敢えて留学を決めた主な理由は何でしょうか。コロナの影響って、自分はどのように捉えていますか

K:僕がオファーを頂いたときはコロナの影響はなかったのですが、現在留学を考えておられる学生にとってコロナの影響は非常に大きいと思います。留学費用は一般的には高額ですし、せっかく留学が決まっても講義が全てオンラインで研究室もあまり使えないとなりますと、思っていた留学とは異なる結果になってしまいます。ただ、私見ですが各大学も既にコロナ対応について慣れてきておりますので、学生に対する対応も段々と洗練されてきていると思います。コロナの終息にはまだまだ時間がかかると思いますが、海外に留学する(学位を取る)というのは非常に得難い経験だと思います。

S:海外留学といえば、欧米留学はまだまだ主流で(とくにアメリカ)、多くの学生にとってアジア留学は穴場のようです。アジアしかも香港を留学先として選んだ理由、ちょっと聞きたいですね。

K:専門がビックデータと機械学習なのですが、この分野では現在アメリカと中国が世界をリードしている状態です。最初はアメリカと中国(本土)を考えていたのですが、お世話になっている教授から香港という選択肢も教えていただきました。また、香港では英語が公用語となっていますので、学生生活や普段の生活でも本土よりも快適に(言葉の面で)生活できると思い香港を選びました。

S:最後に香港科技大学工学院にたどり着いたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。加藤さんが感じた科技大の魅力ってどういうところですか。

K:香港の理系大学で一番良いところはどこだろうと単純に考えた際に、香港科技大学工学院にたどり着きました。特に、MScのビックデータと機械学習のプログラムが非常に魅力的でした。僕にとっての科技大の魅力は大学の知名度・著名な教授達による指導・整った施設・優秀な学生です。とりわけ、科技大の生徒は非常に優秀ですのでお互いを切磋琢磨しながら、高め合っていると感じました。

S:コロナの影響で今年の多くの海外留学が特別扱いになっていると聞いていますが、実際に科技大留学に行って、事前準備や諸手続き、なお香港に到着してからの隔離など、可能な範囲結構ですので、経験したことを少し教えていただけませんか。

K:現在(2020年12月20日)では、香港に入国する際は14日間のホテルでの隔離と2回の検査が義務となっております。事前準備としては、14日分のホテルの手配が必須となっております。まず、到着したその日に検査を受けます。Home Stay Appをダウンロードした後に係員からリストバンドを受け取ります。14日間はアプリを常に起動状態にして、リストバンドも隔離中は常に身につけなければいけません。違反者は罰金を支払わなければいけないので注意してください。もし、分からない事があれば空港のスタッフに尋ねたら良いと思います。検査結果を受け取った後に、隔離用のホテル(タクシー)へと移動します。また隔離中にもう一度検査を受けます。2回目の検査も無事終わり、14日間の隔離が終われば晴れて自由の身となります!

S:科技大は留学生を守るために、コロナに対してどのような対策をとっていますか。

K:コロナ対応としましては、現在ほぼ全ての講義は基本的にミックスモードになっております。実際の講義は教室で行われていますが、同時にオンラインでもZoom経由で視聴することができます。また、コロナ関連の情報は常に学内メールを通して逐一報告してくれます。もし、不安な事があれば事務の方も丁寧に対応してくれてますし、学内でセラピストによるカウンセリングも受けられるみたいです。

S:無事に留学をスタートできて本当によかったです。これからMScの学びが始まりますが、どういう期待をお持ちでしょうか。あるいは自分にとって特別に学びたい知識、強化したいスキルなどがありますか。

K:そうですね…学部で学んだ数学(主に関数解析)を、機械学習やビッグデータに応用したいという気持ちはあります。ただ、コンピューターサイエンスの基礎知識も他の学生に比べて大きく劣っているので強化していきたいと思っております。

S:科技大の学びを活かすように、キャリアや就職についてはどのようにお考えでしょうか。海外で働いてみたい、それとも帰国して就職を。

K:就職に関しては国内でも海外でも特にこだわりはありません。自分でビジネスをしてもいいですし、どこかに研究者として雇ってもらうのも楽しそうです。ただ、僕は香港・中国が好きなので一度くらいはこちらで就職してみたいです。フワフワした回答ですいません(笑)。

S:なるほど。ほかの留学を検討中の学生たちにもよい参考になると思います。

S:最後に、留学といえば、結構多くの学生たちが英語と文化の違いについて不安を抱えています。日本語がまったく通じない国に渡って数年間生活すること、自分にとって本当に大丈夫か、英語を聞き取れるか、周りとコミュニケーションをうまくできるのかと。加藤さんはどう克服するか、またご経験から、留学検討中の学生向けに少しアドバイスをいただければうれしいです。

K:英語に関しては日本にいるときから使っていましたので、特に不安はありませんでした。ただ、チームでのプロジェクトとなった時に、メンバー全員が聞き取りやすい英語を話すわけではありませんので、そこは少し疲れました。ただ、わからなければ聞けば良いですし、伝わらなければ言い直せば良いです。不安になる必要はないと思います。
文化に関しても、同じ東アジア圏ですので特段変わったことはないです。香港でも謙遜は美徳ですが、自己主張しないとあまり良い印象を持たれない事(特にチーム・プロジェクト)もありますので注意が必要です。感覚的には日本とアメリカの間のような感じです。

S:丁寧にいろいろと教えてくださって、どうもありがとうございます。たいへん参考になりました。科技大留学が加藤さんにとって良いステップアップになりますように、心から願っています。

香港科技大学のマスター留学について、詳細は下記の情報をご参照ください。
公式英語サイト
MPhil/PhD
https://seng.ust.hk/academics/research-postgraduate/mphil-phd-programs
MSc
https://seng.ust.hk/academics/taught-postgraduate

日本語支援サイト
https://hkustengineeringjp.org/hkust-seng-degree-programs/

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