コロナの下での留学作戦
コロナの下での留学作戦
前回の投稿「コロナ下での留学はどう考えればいいですか?」に続いて、今回の投稿では、10年ほど日本の国立大学で国際交流・留学サポートの仕事をしている先輩から聞いた留学作戦をまとめてみます。海外留学に興味を持って、とくに留学計画をすでに立っていたがコロナの影響でなかなか計画通りに行けなかった皆さんに、良い参考になれば嬉しく思います。
皆さんのご存じのように、コロナの影響で今海外留学がとても厳しくなっています。実は、学生側だけでなく大学側にとっても、留学に来る学生がだいぶ減少したことがたいへん大きいな問題になっています。グローバル化のなかで世界の主要大学は3割〜半分程度留学生が在籍し、とりわけ大学院の学生構成に留学生が非常に大きな割合を占めています。留学生が一気に減ると、大学が成り立たなくなる危機に直面します。そのため、世界多くの大学はコロナ下での留学に対してできるだけ柔軟に対応しています。
では、一人の学生としてどのようなアプローチ、または具体的にどういう作戦を取れば良いでしょうか。留学を延期しますか、それとも完全に留学を断念しますか、あるいは……
多くの留学経験者も語っていました。留学はただの資格をとる手段ではなく、人生に大きな影響を与えるほどの大事なステップです。しかもそのステップの結果というより、ステップを踏む過程によって学ぶ・気づくことが多くあります。もしそもそも留学に大変興味があってコロナで断念することになったら、将来は悔いが残るかもしれません。従って、コロナの下での留学をどうするか、それを検討するにあたっては、まず自分なりの留学の目的をもう一度明確にしましょう。
留学目的① – 海外大学の学位取得
もし留学の最大の目的が海外大学の学位取得でしたら、オンライン授業・オンライン演習・オンライン報告だけで学位取得できるコースを見つけることをお勧めします。就職やキャリアアップのために海外大学の学位が必要とのことは(とくに特定の専門において高評価されている大学)、とても理解しています。現在、欧米の大学のみならず、アジアの主要大学も、完全にオンラインで学位をとるコースを用意しています。一つの参考例をあげると、例えば香港科技大学工学院のMaster of Science in IC Design Engineeringコースが2021年からオンラインだけで学位取得できます。類似したコースはほかの大学も提供しているので、香港科技大の例における検索のキーワードなどをピックアップして探せば、自分にあうオンライン学位コースが見つかるはずです。
留学目的② – 専門知識の習得
留学の目的が専門知識を習得することなら、上記①と同じようにオンラインコースを探すことがお勧めです。希望の大学が明確になっている場合は、大学の名前・専門分野のキーワード・オンラインコースというキーワードの組み合わせから検索するか、または特定の大学のサイトにてオンラインコースを調べれば、きっと自分にあうコースが見つかるでしょう。オンラインコースは無料と有料、趣味程度と証書付きの程度まで、幅広く提供されているので、事前に十分把握することを強くお勧めしたいと思います。知識習得のオンラインコースの多くは、給付型奨学金がついていないようなので、経済的に計画を立ておくほうが良いかもしれません。
留学目的③ – 海外経験の蓄積
外国における勉強・生活・人脈づくり・文化体験などが留学の目的でしたら、実際に海外にいけないと経験を積むことができないため、とくに具体的な作戦が必要です。
コロナでしばらく海外渡航できない場合、もし時間的に余裕があったら、留学を延期してコロナの収束まで待つことが一般的です。待つとはいえ、待つだけでは時間がもったいないので、留学目的が明確で留学計画もある程度立ったら、ひとまず入学しておくことも良い作戦かもしれません。現在結構多くの大学は柔軟にコースとプログラムを組んでいて、例えば入学が決まり次第、まず最初の半年から一年くらいはオンライン授業のみで、2年目から実際に海外へ渡り現地で残りの授業や研究などを完了させる、みたいなシステムを実施しています。このような形なら、海外の経験を積む予定が確実に立てられるようになります。海外へ渡る前の一年は、日本にいても専門知識の習得と単位の取得ができると同時に、次の海外生活のために語学や外国人とのコミュニケーションなどの練習もできます(オンライン演習・発表・ディスカッション)。海外へ行く前の準備として役立つかもしれません。
留学目的④ – 海外の人脈作り
国際的に人脈を作ることも留学のなかでだいぶ実現しやすく、それを目的に留学にいく人も少なくありません。海外に良い人脈を持つことは、人生においてむしろ一番大事かもしれないとも言われています。とくに世界のTOPクラスの大学には、世界各地から優秀な方々が集まっているため、そういう方々と良いネットワークを築くことから、自分の視野や物事の考え方も豊かになり、キャリアないし人生においても大きな刺激となるかもしれません。今多くの大学はオンラインプラットフォームを通じて世界各地にいる学生たちを繋いで、共同で授業・演習を実施したり、共同研究プロジェクトまで行なったりしています。しばらく海外へ渡ることができなくても、こういう活動に参加することで、ある程度国際的な交流ができ、人脈作りにも役立つかもしれません。上述の海外経験蓄積と同様に、2年目から実際に海外へ渡ることになると、現地においてさらに交流することで絆が強くなるでしょう。
大学のオンラインプラットフォームに参加するには、大学のオンラインコースを取るかまたは入学して正規学生になることで実現できます。すぐ海外へ行けず日本にいても、できることはまだまだたくさんありますね。
コロナ下での留学の留意点
●給付型奨学金の申請と受取
コロナの影響で留学生がだいぶ減少したにも関わらず、留学生向けの給付型奨学金の提供を全く減らしていない大学が結構あります。先輩が担当している香港科技大学はそのなかの一つです。給付型奨学金を削減しないだけでなく、支給の柔軟性をとっているようなので、入学が正式に認められ、給付型奨学金の申請が無事に通れば、すぐ香港に行かなくても給付型奨学金の受取が可能だそうです。
一方で、すべての大学が同じく柔軟に対応しているという訳ではないため、留学検討の一環として、給付型奨学金の申請と受取に関する情報をしっかりと集めることが大事です。とくに下記の点について留意しましょう。
・給付型奨学金申請の必須条件に海外渡航が可能という点が含まれるかどうか
・給付型奨学金受取の必須条件に現在滞在中との点が含まれるかどうか
・給付型奨学金受取にあたって現地の口座を持っていることが必須かどうか
●現地でとる授業や現地で行わなければならない研究などが、コース全体の何割を占めるかを的確に把握する必要あり
完全にオンラインで学位・資格を取得できるコースを除いて、Hybrid式(online + on-site)教育システムを実施する場合、on-site部分の授業と研究活動がコース全体の何割を占めるか、留学の検討において的確に把握することが重要です。それをベースにコロナ下での留学計画を立てることができます。
コース修了についてある程度柔軟性をとっている大学は、必ず何年以内卒業しなさいとのことをもう留学生に要求しないようになっています。仮にオンラインの部分を全部とってもコロナの収束がまだ見えないようでしたら、途中で一旦休学して、海外渡航が再開してから留学に行くことも可能です。Hybridシステムでは何割がオンライン、何割がオンサイトとの情報をもとに、留学計画を立てましょう。
最後に
コロナの下での留学に対してどのような作戦をとるかは、留学目的によってそれぞれのアプローチを取ることができます。そもそも留学に興味を持ち留学の目的が明確とともに、ある程度計画を立ているなら、コロナの影響で留学を断念することは、たいへんもったいないと思います。
オンラインだけで学位取得可能、Hybrid式システムの活用、コロナのなかでも給付型奨学金獲得可能などを考えれば、コロナ下でもできることはまだまだたくさんあります!
上述した方法で探ってみれば、自分にある留学の形が見つかるかもしれません。
ぜひ頑張ってください、応援しています!
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香港科技大学への留学については↓
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香港科技大学工学院留学情報のまとめ
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香港科技大学の給付型奨学金情報のまとめ
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香港科技大学のコロナ対策情報のまとめ
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ほかに香港科技大学留学体験記なども掲載していますので、本サイトにて是非ご覧ください。
参考になればと思います。