香港留学への考え方①

日本人学生香港留学支援グループのリーダーのKenです。

先日学生さんから香港留学をどのように考えて計画すればいいかというご相談があり、その内容が皆さんにも参考になるかと思うので、こちらでシェアさせていただきます。まずは香港留学をどのように考えるところから始めます。

相談された学生さんだけでなく、多くの日本の学生は香港に留学するということについて、あまりイメージを持っておられないでしょう。というのも、現状としては日本の大学や民間の留学支援機関はほとんど香港を留学先の対象にしていないからです。しかし、少し視点をずらしてみると、イギリス植民地という歴史を持ち、アジア漢字文化圏と欧米文化圏の接点という世界では珍しい性格をもつ香港という場所に留学するのも一つの選択肢になるのではないでしょうか。

香港留学で得られるメリットとして、以下の3点を挙げたいと思います。
1. 多様な言語・文化・価値観が共存する環境下で視野を拡げることができる
2. 世界的に見ても高水準の教育を受けることができ、さらにグローバルエリートとのパイプを作れる
3. 欧米・アジア諸国につながるハブとして、有効活用できる

1.多様な言語・文化・価値観が共存する環境下で視野を拡げることができる
香港は150年以上イギリスの植民だったため、長い間公的な場で使う言語は英語で、社会的制度や教育制度もイギリス制度でした。一方、人口の大半は中国人であったため、日用的な言語としては広東語が使われていました。また中国返還に伴って中国標準語(普通話)が正式に教育に取り入れられたので、皆さんが知っている中国語(北京語)も、現在香港の公用語の一つとなっています。英語を主要言語としている外国人(東南アジアを含む)、広東語を話す本土の香港人、そして返還以来増加している中国大陸人(Mainland Chinese)がともに香港で仕事・生活をしているので、多くの言語・文化・価値観が共存している環境が香港の主な特徴の一つとなっています。
こうした環境のなかで、英語・中国語を習得できるとともに、様々な考え方と価値観に触れて自分の視野を拡大させ、今まで考えたこともないideaや物事の見方を身につけることができます。また、そのような文化が混在する環境に慣れることもできます。将来国際企業や海外の大学で仕事をする機会があれば、この経験がかなり役に立つでしょう。

2.世界的に見ても高水準の教育を受けることができ、さらにグローバルエリートとのパイプを作れる
香港の大学がアジアの大学ランキングでかなり上位に構えている理由を考えたことはあるでしょうか。これはただ香港の大学が英語を主言語として扱うからというだけでなく、イギリスが残したエリート教育も背景にあると言えます。香港は日本と違い、大学を増やし高等教育を普及させるというより、むしろ少数精鋭のエリート教育を徹底してきました。人口は700万人以上いるものの大学は数カ所にしか設置されず、大学の学生数もほとんど増加していません。また、大学入試の基準を欧米の名門大学とほぼ同じように設定しているため、激しい競争を勝ち抜いた優秀な学生が集まります。香港の大学は地元の学生のみならず、積極的に世界から優秀な学生を誘致しています。ローカルのエリートと世界のエリートがともに学ぶ場所に身を置くと、高水準な教育を受けることができるのはもちろんのこと、世界から集まる優秀な学生と知り合うことができます。そのようにグローバルエリートと切磋琢磨することを通じて成長できることに加えて、大学で作った人脈が、将来仕事にも役立ちます。最近就活やビジネス関係作りで有名なLinkedinというSNSサイトのデータによれば、よい仕事に就く大事な要素の一つが人脈であり、それは8〜9割程の重要性を占めているようです。

3.欧米・アジア諸国につながるハブとして、有効活用できる
かつてイギリスの植民であったという特別な歴史を背景にして、香港は欧米だけでなくアジア諸国(とくに中国、台湾、東南アジア)と強いつながりを持っています。それは香港の主要な大学である香港大学、香港中文大学、香港科技大学の国際交流協定締結校からもうかがえます。香港の大学は国際交流・ネットワーク作りをたいへん重視しており、事実そこに多くの資源を投入しています。近年では、大学同士の協定に留まらず、企業との連携を積極的に行なっている大学もあります。日本ではなかなか見られない国際的な長期インターンシップ(給料付)の機会も豊富で、Google社やMicrosoft社もその例として挙げられます。
以前日本人学生から、自分は香港で就職するつもりがないので、香港で留学するメリットがないのではないかと尋ねられたことがあります。しかし実は香港留学を踏み台として、世界へ進出することが可能です。むしろこれが香港の強みであるとも言えます。香港の大学に正規の学生として入れれば(Degree Program)、自分がただの留学生だけでなく、ローカルの学生と同様に海外留学・海外インターンシップに参加できます。
日本人学生として現在有利なところは、給付型奨学金が獲得しやすいことです。とくに理工系の分野では、在学中または留学を経験した日本人学生の情報によると、今はとくに取りやすい時期であるようです。香港の給付型奨学金があれば、留学の経済的負担がほとんどない上、むしろ次の留学や海外展開のための貯金もできるかもしれません。
香港を欧米だけでなくアジア諸国にも繋ぐハブとして活用することを、皆さんも一度検討して見てください。

香港留学を如何に計画すればいいか、また提案をさせていただきます。

ちなみに、香港科技大学日本人学生支援グループって何? リーダーのKenってどういう人?

すみません、支援活動の情報発信の最初段階から自己紹介を忘れました〜
私はKenと言いまして、香港出身です。2002年香港中文大学の学生の頃、日本への交換留学で日本との縁ができました。2007年から神戸大学に留学し、その後8年ほど神大で国際交流の仕事をしていました。神大の国際交流で香港科技大や香港中文大とのコネクションができ、とくに香港科技大がぜひとも日本人学生にきてもらいたい、日本人学生向けに多額の奨学金を提供できることを知って、周りの日本人後輩をはじめ、支援活動をスタートしました。そのきっかけで香港留学中または留学したい日本人学生と知り合って、支援グループとして活動するようになっています。
現在科技大が後援となってくれているので、様々な情報提供や、科技大国際担当スタッフにおつなぎすることなどができました。皆さんにお役立つ情報やアドバイスができれば嬉しいです。是非とも我々の情報とネットワークをご活用ください。